diaryトップへ


『君に届け、バレンタイン!』  森沢 翔

設定・・・高校生平次。(合同誌完売記念も兼ねて/笑)



「なんで今日も学校があるんや〜!!」

「しょうがないだろ、担任じきじきの呼び出しだったんだから。」



只今正午。

平次と慎二は、学校の校門をくぐり、帰る途中だった。

慎二は部活で学校へ来ていたのだが、実は平次の方が担任に呼び出されての出席だ。

「せやけどな、ぜんっぜん、俺なんも関係ないことで呼び出すか普通!?」

そう。実は、別に平次は成績が悪いとか、学校の委員会行事とか、そういった類のもので呼び出されたわけではないのだ。

「まあ、いいこと(?)もあったんだからよしとしろよ。」

一応慰めてはいるものの、くすくすと楽しそうに笑いながらでは、そんな言葉もうそ臭い。

平次は、隣を歩く慎二を肘でこつきながら、しかたなさそうに歩いている。

「あんなんええことともちゃうやろ。」

「そう?」

「わざわざ出席した俺に、用件やって言うて・・・・チョコ渡すんやで?信じられへんわ!!」


 ちなみに担任はれっきとした男である、と付け加えておこう。


「あ〜それはご愁傷様。」

「・・・・全然そう思うてへんやろ自分?」

「あ。そんなことより、今から東京行くんだろ?」

するりと会話を摩り替えて、慎二は一旦足を止める。

「ああ、このまま行ったら丁度新幹線にええ時間・・・・。」


「・・・?」

言葉を止めた平次を、慎二が不思議に思い同じように足を止めた。

そして二人の顔から能面のように表情が消える。


「なぁ・・・・いつからこの街はこない人増えたんや?」

「・・・・・俺もそれは疑問に思うとこだよな。」


前方に。

人・人・人・

「道かえよか?」

「・・・そういうわけには・・・・行かないみたいだけど?」

人の波の中から、勇気を振り絞った女性が一人、慎二の前へと出てきた。

近所の高校生らしく、セーラー服を着ている。

「あの、これ、受け取ってください!」

わかってはいたことだった。

ある程度は。

しかし・・・・もしかしてあの山(人間)全部がそうだとしたら、笑えない。

慎二はどうしようかと迷った後、とりあえず受け取り、簡単に礼を言った。


けれど、早めに終わらせようと簡単に受け取ったのがあだになる。


あとからあとからチョコを持ってくる人間。

中には、おばちゃんもいる。


「あ、これは服部君に・・・・。」

頬を染めて平次に差し出すのは・・・・


おばちゃんかい!!


「はは、おおきに。」

その人物が、以前自分がひったくりを捕まえてあげた人だと気づき、平次はあの時の礼として受けとることにした。


ひっきりなしにチョコを渡され、二人は既に何が何やら・・・。


そして、次々と現れるチョコの群れ・・・・に、どうしようかと考えはじめた時だった。 

「・・・・これも・・・。」


・・・男の子が慎二にチョコを渡すと走り去ったのだ。

一瞬の出来事で、慎二は咄嗟に何も言えず、胸に押し付けられたチョコを呆然と見ている。

「お、さすがや〜慎二君はモテますなぁ。」

くっくっくっと肩を揺らし笑う平次。

慎二をからかおうなんて。命知らずな平次だ。


ところが・・・。


「・・・・あれは俺あてじゃないと思うけど?」

にっこりと平次の言葉を受けて返す慎二

そこには黒ずくめの団体が!!

慎二がチョコを男の子からも受けとったのを見て勇気が出たのか、先ほどまではこなかった男の群れが、二人に近寄って来た。

「・・・・冗談やないって!」

けれど平次には時間がない。

「・・・・慎二、例のいくで!」

言うが早いか、平次は隣に立つ慎二の手を掴んだ。

そして。


「俺ら愛し合ってんね〜ん!」


 ・・・ふっ。

 ここまで来ると、平次はもう何もかまっていられなかった。



何せ時間がないのだ。

このままでは新幹線に間に合わない。


「本当なんですか・・・?」

何とか声を出した一人が、じっと慎二を見つめる。
 

「そうなんだ、ごめんね。」


にっこり。

天使で悪魔な慎二は極上の笑顔を振り撒き、平次に手を握られたまま慎二も走って行く。


二人がココ、という時にしか使わない(当然だ)最終兵器の前に、チョコを持った群れは固まったまま。 





さて、チョコは無事工藤新一に届いたか・・・・?


それは三人だけの秘密となる。



エンド








テレワークならECナビ Yahoo 楽天 LINEがデータ消費ゼロで月額500円〜!
無料ホームページ 無料のクレジットカード 海外格安航空券 海外旅行保険が無料! 海外ホテル